Point of View case 04

遠くで振動が発生している。

うるさい。

けれど私は、震源地がどこかなんて目もくれず

自分の表層にある、美しさのバランスを保つことに従事する。

揺れに飲まれ、消えてしまうかもしれない恐怖から、目を逸らすようにして。

ふと、振動音に耳をすます。

そして、気付く。

この揺れが、自分の内側から聞こえてくることに。

おそるおそる、もういちど、耳をすましてみる。

てっきり、出会ったことのない誰かだと思っていたのに。

急に、揺れの主が自分の中でふつふつ動く。

保たれていた均衡が崩れる。

この崩れが新たな動きを生み、揺れは主体となって立ち上がる。

気付けば、遠くはずっと静かだった。


photo by mayo.K

portfolio: https://mayokphoto.com/

Nov 13th 2019

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