CCS records 色に共感し、ボーダーを超え続けるクルーの正体 part1


近年活発な動きを見せている福岡のカルチャーシーンにおいて、独特な色彩を放ちながらその存在感を拡大させているクルーがいる。

CCS records。音楽、アート、グラフィック、アパレル、ビートメイキングといった複数のジャンルを横断的にカバーする3つのセクションを立ち上げ、それぞれをミックスさせながら活動を行う表現集団だ。

突如として福岡のカルチャーシーンに現れ、それぞれの活動で影響力を拡大させている一方、CCS recordsそのもののルーツや全体像は謎に包まれている。今回、そんなCCS recordsのレコーディング現場にTRENCHANTディレクターのJasmine が潜入。あらゆる表現のボーダーを飛び越えて活動を続ける彼らのルーツ、思想を紐解くべく行ったインタビューの様子を、全3回に分けてお届けする。

 いつもより遅い梅雨入りが報じられた6月末ごろ、CCS recordsのレコーディング取材と、インタビューは実現した。場所は福岡の中心部からほど近いマンションの一室。待ち合わせの時間、マンションの下で待っていると、鮮やかなカラーを身に纏ったCCS recordsのメンバーが降りてきた。今回インタビューに応えてくれたのは、音楽活動をメインに行う「週末CITY PLAY BOYZ」からBUGS、pen public(以下、pen)、billの3人。軽い挨拶を交わし、早速部屋へと向かう。

「部屋、めちゃめちゃ暑いっすよ」

 ドアの手前で、penが呟く。

 「いま、エアコンのリモコン失くしてるんすよ」

 penの自宅であるこの部屋で、いつも週末CITY PLAY BOYZのレコーディングが行われているという。部屋の壁には、アート活動も行っているpenが制作したアートワークが並んでいる。日が暮れ始めていた夕方ごろ。熱気のこもる一室で、レコーディングが始まった。

週末CITY PLAY BOYZでは、リリースを控える新作アルバムのレコーディングが一通り終わった所とのことで、この日はBUGSがビートメイカーとして個人で制作するEPの客演として、penとbillの収録をしているところだったそう。

 レコーディングが終わり、3人は身体を冷ますようにベランダで一服すると、部屋に戻ってきた。

「架空のレコードレーベル」CCS records

―それでは、早速インタビューに入らせてもらっても良いですか?

BUGS :

もちろん。

―ありがとうございます。現在CCS recordsとして幅広い表現活動を行われている皆さんですが、それぞれの経緯やメンバー構成はすごく複雑なイメージがあります。まずは、CCS recordsの全体像とそれぞれの活動について聞かせてください。

BUGS :

まず、CCS recordsの全体像としては、週末CITY PLAY BOYZ(音楽)、cheese cheap shop(アート、グラフィック、アパレル)、Mellow Fellow Botanica(ビートメイキング)という3つのセクションを軸に動いています。それで、これらの活動を総称してCCS recordsと呼ぼう、と。感覚としては「架空のレコードレーベル」という感じかな。

メンバーとしては今日ここにいる3人のほかに、3つ全てに入っているnorth NADO(以下、NADO)と、Mellow Fellow Botanicaのビートメイカー4人って感じですね。

―3つの中で、最初のアクションはどこからだったんですか?

BUGS :

一番初めはcheese cheap shopになるのかな。

pen :

そうですね。まず僕らの関係から話すと、もともとBUGSと僕が同じ大学のダンスサークルに入ってたんです。そこに、一コ下の後輩としてbillがいる、という感じで。

それとまた別の軸で、僕がずっと仲良かったのが「週末」のもう一人のメンバーのnorth NADO(以下、NADO)なんです。大学は違うんですけど、こっちもダンスつながりでよく一緒にいて。

それで、NADOとは前から「Tシャツ作ろう」みたいな話をよくしてたんですよ。そんな話の中で、実際に制作をする前からブランド名だけ先に決めてたんです。そのブランド名っていうのが、「cheese cheap shop」だった。

―そこがスタートだったんですね。cheese cheap shopで実際にアパレルを作るようになったのはいつ頃から?

pen :

実際に作るようになったのはちょうど3年前の夏ぐらいかな。その年、NADOは大学院に進んで、僕は留年して5年生になったんですけど。その頃から実際にTシャツを作り始めました。知識もない中、僕の家でNADOがパソコンいじりながら。僕が絵を描き始めたのもちょうどそのタイミングですね。NADOが僕に「絵描いてみたら?」って言ってきたのがきっかけで。

―なるほど。その頃がcheese cheap shopの実質的な立ち上げだったと同時に、アート面でのスタートでもあったと。

pen :

そうですね。そうやってTシャツを作り始めたんですけど、いざ始めても在庫を持つ金はなかったので、最初は完全受注制にして大学内で売っていました。

―それこそ3年前の夏ごろ、cheese cheap shopのインスタで、Tシャツを買った人の写真を上げられていた時期がありましたよね。毎回同じハッシュタグを付けて。

pen :

「デリバリースマイルチーズ」ですね。

その頃は買ってくれたTシャツを紙袋に包んで、消しゴムで作ったチーズのスタンプを押してデリバリーする、というのをやっていて。それを持ってもらって写真撮って、「デリバリースマイルチーズ」ってタグでひたすらインスタに上げてましたね。

なので、NADOもカブにTシャツ一杯のっけて、当日アポ取ってから配って回ったりしてた記憶がありますね。

―面白い。ということは、現状cheese cheap shopのメンバーということになると、pen君とNADO君ということになるんですね。

活動全体を総称して「CCS」というワードを使うというのは、最初のアクションがcheese cheap shopだったという部分が大きい?

BUGS :

それはあるかも。活動の幅が広がっていく中で、CCSというワードが自然と出るようになりましたね。

 2016年の夏にスタートしたcheese cheap shopのアパレルやアートワークは大学にとどまらず、現在では福岡のインディペンデントなコーヒーショップや大手セレクトショップとのコラボレーションも行うなど、その注目度を増している。またpen自身としても、イベントでのライブペインティングやホステルのアートディレクションを行うなど活動の幅を広げており、様々なシーンでその名前を聞く存在となっている。

週末CITY PLAY BOYZ・本格的な音楽活動へ

―次に音楽メインのチームである週末CITY PLAY BOYZについて聞かせてください。こちらはどんな経緯でスタートしたんですか?

pen :

これも僕が大学5年生のころですね。その年の年末ぐらいにBUGSがいきなりマイク買ってきて、「曲作ろう」って言い出して。iPhoneで作ってきたビートを聞かされて、実際に作ってみたことがきっかけでしたね。

絵にしろ歌にしろ、僕はひたすら言われたことをやってるだけなんですよね(笑)。

―いや、それで出来ちゃうことが凄いです(笑)。

pen :

それで、作った曲はNADOとかbillにも聞かせたりしてた。ちょうどそのころ、billは大学3年生を終えたタイミングで休学して、カナダに留学に行ってたんですよ。だから、僕らが動き出してるところをbillは見てなくて。

BUGS :

ただ作った曲は送ってたよね。あと、billに向けた曲を書いたりもしてた。

―なるほど。大学のサークルという関係性もあった中で、bill君にとって二人はどんなふうに見えていたんですか?

bill :

僕的には、pen君が「みんなの人気者」で、BUGS君は「ガラの悪い男たちの憧れ」って感じかな。サークルにもあんまり顔出してなかったし。ただ、僕自身は元から二人と仲良かった記憶ですね。

pen :

そうですね。billはそれこそ、後輩というよりも仲の良いやつという感じでした。

 2016年の冬。少しずつ曲を作り始めていたBUGSとpenの二人。ただ、この時点ではまだ纏まった動きではなく、セクションを立ち上げるという段階でもなかったという。そんな中で、この動きを本格的な活動に押し上げるきっかけとなったのは、一つ年下の後輩であるbillの言葉だった。

pen :

僕らが曲作りを始めてからちょっと経った頃、billがカナダから帰国してきたんです。久しぶりに会って色々と話をしていたら、その音楽の話になって。そしたら彼から、「(音楽を)絶対もっとちゃんとやったほうが良い。てか、やろうよ」と言われて。

BUGS :

うん。あれは覚えとるなあ。

―ちゃんと活動として立ち上げよう、と。

pen :

そう。それで本当にその夜にリリック書いて、レコーディングしたんです。

―へえ。それは印象的ですね。その瞬間が、週末CITY PLAY BOYZの本格的な立ち上げにつながっていったと。NADO君もその時点でメンバーに入ったんですか?

pen :

いや、その時点ではまだ3人でした。ただ、少しずつ動いていくうちに「DJが必要やな」という話になって。そこで「そういえばNADO、DJやん」と。

BUGS :

そうそう。で、「入れば?」みたいな。というか、そこまでちゃんと頼んだりもしてないかな(笑)。

NADOは最初DJだけやってたんですけど、そんなに経たないうちに「お前も歌えよ」という話になって。で、NADO用のビートを作ったんです。そこで味をしめて、あいつも歌うようになった。そこから、今の4人の形ができたって感じですね。

レーベル加入、東京進出

―なるほど。ということは、cheese cheap shopも週末CITY PLAY BOYZも、2016年の夏から冬にかけて一気に形が出来ていったんですね。

週末CITY PLAY BOYZとしては、2019年の4月に東京でライブに出演されていましたよね。あれはどのようなライブだったんですか?

BUGS :

僕らが所属するomake clubと、PARKというレーベルのコラボイベント(「OMAKE PARK」)でしたね。

―東京での初めてのライブ出演はいつごろだったんですか?

BUGS :

2018年のGWくらいでしたね。中目黒のsolfaであった「YO!」ってイベントで。オーガナイザーはうちのレーベルのオーナーのTSUBAMEさんと、アートディレクターの安田昂弘さん。

―初東京がsolfaだったんだ。私もダンスでよく出演してます。その時のライブがきっかけで、omake clubへの加入につながった?

BUGS :

そうですね。jabba da football clubと、レーベルに入る前から福岡のライブで一緒になることが多くて。最初のsolfaはそのつながりで呼ばれたんです。それと同じタイミングで、「レーベル入らない?」って誘われて、一回話聞いてみるか、となって。

ちょうどsolfaでのライブで東京に行くから、その時にレーベルの話もしようと。それでライブに出て、そのまま事務所行って、「契約しないか」という話になって。俺らにとっては良い話しかなかったので、二つ返事で受けたんです。

―それから今年の4月までにも何回か東京で出演されてるんですか?

BUGS :

そうですね。今回が代官山UNITで、その前にも下北沢THREEとかBATICAでもやったかな。あと、jabba da football clubがリリースるときにWWWでもやってますね。

―ということは、2018年4月の一回目以降、結構な頻度で東京にも来られてるんですね。

BUGS :

そうですね。それこそ、omake clubから「Caroline」と「Mathew」という二枚のEPをフリーで出してからかな、東京が増えたのは。

―レーベル加入と作品のリリースが重なって、東京にも定期的に呼ばれるようになった。

BUGS :

うん。知ってもらうきっかけにはなったと思いますね。

(part2に続く)

Interviewed by Jasmine

Edited by kohei


この投稿へのコメント

  1. zpfsqjtks said on 2020年9月11日 at 3:38 AM

    CCS records 色に共感し、ボーダーを超え続けるクルーの正体 part1 – TRENCHANT
    [url=http://www.gmvkz596180rbf1j7m84d9jq8ax236p8s.org/]uzpfsqjtks[/url]
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